動画を見たあと、視聴者はどこへ行けばいいのか──問い合わせにつながる動線の作り方
多くの企業動画は「見て終わり」で設計されている
視聴者が動画を見終えた瞬間、画面には次のおすすめ動画が並びます。何も置かなければ、関心を持ってくれた人はそのまま別の動画へ流れていく。見終わりは、関心が一番高まっている瞬間であると同時に、最も離れやすい瞬間でもあります。
にもかかわらず、多くの企業チャンネルは動画を公開した時点で作業を終えています。概要欄には会社説明が貼られたまま、終了画面は設定されておらず、コメント欄は空。動画を作る労力の1%を動線に回すだけで、同じ再生数から得られる問い合わせの数は変わります。
動線は3か所しかない
難しく考える必要はありません。YouTubeの中で視聴者を動かせる場所は、実質この3つだけです。それぞれ役割が違うので、同じ内容を貼り回すのではなく、使い分けます。
- 概要欄 — 一番使われていて、一番おろそかにされている クリックして行き先に飛べる唯一の場所です。スマホでは最初の数行しか表示されないため、何を1行目に置くかがすべて。ここに会社概要を置いている限り、リンクは存在しないのと同じです。
- 終了画面・カード — 「次の動画」ではなく「次の段階」へ送る 動画の最後20秒間に設定できる領域です。多くのチャンネルが「他の動画」と「チャンネル登録」を置きますが、企業チャンネルでは次に見てほしい1本を指定することのほうが効きます。関心の段階を一つ進める動画を選びます。
- 固定コメント — 概要欄を開かない人への保険 コメント欄の一番上に固定表示できます。概要欄を開かずスクロールする人は一定数いるので、同じ案内をもう一度置いておく。設定に1分もかからない割に、取りこぼしを減らせます。
概要欄は1行目で決まる
スマホのYouTubeアプリでは、概要欄は最初の2〜3行しか表示されず、それ以降は「…もっと見る」をタップしないと読めません。つまり勝負はこの数行で終わっています。
並べ替えるだけで、追加のコストはゼロです。順番は「行き先 → 理由 → 目次 → 会社情報」。会社概要は、興味を持った人が下まで読んでくれれば十分です。
本編の中でCTAを置く位置
概要欄を開いてもらうには、動画の中で一度は触れる必要があります。ただし言う場所を間違えると、宣伝くさくなって離脱を招きます。尺の中での役割は次のように分かれます。
ポイントは終盤です。「チャンネル登録もして、概要欄も見て、コメントもください」と並べた瞬間、視聴者はどれもしなくなります。欲張らず、その動画で一番進めたい行動を1つだけ選んでください。
チャンネル登録より先に設計すべきもの
企業チャンネルの相談でよく出るのが「登録者が増えません」という悩みです。しかし登録者は、増えても直接の売上にはなりません。登録は「また次も見たい」という意思表示であって、「相談したい」という意思表示ではないからです。
先に設計すべきなのは、相談したくなった人がすぐ辿り着ける場所です。登録はそのあとで構いません。目的が問い合わせであれば、動線の優先順位は次のようになります。
- 第1優先:相談・資料請求への導線/概要欄の1行目と終了画面。今すぐ動ける人を逃さないため。
- 第2優先:次に見てほしい動画/まだ検討段階の人を、一段階進めるため。
- 第3優先:チャンネル登録/長く接点を持ちたい人への受け皿。急ぎません。
今日できる、3ステップ
既存の動画に対して行う作業です。新しく撮る必要はありません。
- 再生数の多い動画を3本選ぶ(5分) すでに人が集まっている動画から直すのが最短です。アナリティクスで上位3本を確認してください。
- その3本の概要欄を並べ替える(20分) 行き先 → 押す理由 → 目次 → 会社情報の順に変えるだけです。リンクには必ず「何が手に入るか」を1行添えてください。
- 終了画面と固定コメントを設定する(15分) 終了画面は「次に見てほしい動画1本」、固定コメントは概要欄と同じ案内を1つ。ここまでで約40分です。
やってはいけない動線の作り方
- 全部の動画に同じリンクを貼る 見ている人の検討段階が違えば、次に進みたい場所も違います。入門的な動画には「もっと知るための資料」、具体的な内容の動画には「相談窓口」。動画の内容と行き先を揃えるだけで反応が変わります。
- リンクを4つも5つも並べる 選択肢が増えるほど人は選べなくなります。概要欄の見える範囲に置くリンクは1つに絞る。残りは下に回して構いません。
- 設定して終わりにする 概要欄のクリック数はYouTubeアナリティクスで確認できます。入れ替えたら数週間後に見る。直して、見て、また直す。この往復がないと、どの一行が効いたのか永遠に分かりません。
まとめ
動画は、見てもらうところまでで半分です。残りの半分は、見終えた人の行き先を用意しておけるかどうかで決まります。
今日からできる最初の一歩は、一番再生されている動画の概要欄を開いて、1行目を会社説明から行き先に変えること。撮影も編集も必要なく、効果はその週のうちに確かめられます。