サムネイルに「テーマ」を書くから伸びない──
クリックされるのは"欲望"が載ったサムネ
テーマを書いたサムネイルが、なぜスルーされるのか
料理動画を例に考えてみます。「玉ねぎのレシピ」という動画を作ったとき、多くの人はサムネイルにこう書きます。「簡単!玉ねぎレシピ」──テーマそのものです。
しかし視聴者は、スクロールしながら無数のサムネイルを流し見しています。そこで「玉ねぎレシピ」という文字を見ても、自分にとって何が良いのかが一瞬で分からないため、指は止まりません。テーマは"何の動画か"を説明しているだけで、"自分に何が起きるか"を伝えていないからです。
同じ動画でも、後者は「作ってみたい」と思わせます。サムネイルに載せるべきは、動画のテーマではなく、視聴者が動画を見た先に得られるもの。これが基本の考え方です。
なぜ「4つ」なのか
欲望を1つだけ載せても弱いのは、人が行動を決めるときに複数の条件を同時に見ているからです。「簡単そう」だけでは「でも美味しくなさそう」と引っかかり、「美味しそう」だけでは「でも面倒くさそう」と止まる。
だから異なる方向の欲望を3〜4つ並べて、迷う理由を先回りして消す。先ほどの例で言えば、こう分解できます。
| 載せた言葉 | 満たしている欲望 | 消している不安 |
|---|---|---|
| 焼くだけ | 手間をかけたくない | 難しそう |
| 3分 | 時間をかけたくない | 面倒くさそう |
| カリカリ | 美味しいものが食べたい | 地味そう |
| 我が家はいつもこれ | 失敗したくない・安心したい | 本当に美味しいの? |
この4つが同時に目に入った瞬間、視聴者の頭の中の「でも…」がすべて消えます。これがクリックの正体です。
誰でも再現できる3ステップ
センスの問題にしないために、手順化します。自社の動画に当てはめてみてください。
- 分解する 参考にしたい伸びている動画のサムネイルを1枚選び、そこに書かれている言葉を「メインテーマ」と「欲望」に分けます。多くの場合、テーマは1語だけで、残りはすべて欲望の言葉です。ここで言葉をそのまま真似するのではなく、分けて考えるのがポイントです。
- 分析する 分けた欲望の言葉について、「なぜ人はこの言葉に反応するのか」を一段深掘りします。「レンジで」=火を使いたくない・洗い物を増やしたくない。「4分」=待ちたくない。「トロットロ」=食感への期待。言葉の裏にある心理まで言語化できて、はじめて応用が効きます。
- 構築する 分析で見えた「欲望の構造」を、自社のテーマに当てはめ直します。料理の「レンジで/4分/トロットロ」が、自社が税理士なら「スマホで/5分/全部おまかせ」に、人材会社なら「登録不要/即日/未経験OK」に変換できます。真似するのは言葉ではなく構造です。
やってはいけない「サムネの横展開」
伸びている動画のサムネイルを、言葉ごとそのまま自社に置き換える──いわゆる横展開は、かつては有効でしたが今はおすすめできません。理由は2つあります。
ひとつは、同じ見た目のサムネイルが並ぶと視聴者に飽きられ、かえってクリック率が落ちること。もうひとつは、内容が伴わないまま言葉だけ借りると、視聴者の期待を裏切りチャンネルへの信頼そのものを損なうことです。
実務:作ったあとに必ずやること
- スマホの縮小表示で最終確認する視聴者の大半はスマホです。PCの編集画面では読めても、実機の一覧表示では潰れて読めないことがよくあります。作ったら必ず自分のスマホに送って、一覧の中でどう見えるかを確認してください。
- クリック率が低ければ、動画ではなくサムネイルを疑う目安はクリック率4〜5%。下回っているときは内容が悪いのではなく、欲望が載っていない可能性が高い。サムネイルは公開後に差し替えられる数少ない要素なので、言葉を変えて再チャレンジしましょう。
- 差し替えは1要素ずつ、2週間単位で文字も色も画像も同時に変えると、何が効いたか分かりません。まずは言葉だけを欲望型に変える。2週間ほど様子を見て数字を比べる。この積み重ねが、自社の勝ちパターンを作ります。
まとめ
サムネイルづくりで迷ったら、この一点だけ思い出してください。「何の動画か」ではなく「見たら自分にどんな良いことがあるか」を載せる。そのために、参考動画は言葉ではなく欲望の構造で分解し、自社のテーマに組み替える。
センスではなく手順です。今日作る1枚から、テーマではなく欲望を書いてみてください。